最近になって目に見えて衰えてきた一人暮らしをする92歳の父。
そんな父と今後の生活についての話し合いをしました。
話し合いをしてわかった今後の生活についての父の考えと優先順位。
- 頑張って今のまま自力で一人暮らしを続ける
- 自力での一人暮らしが難しくなったら訪問介護サービスを使って暮らす
- さらに状態が悪くなったら介護施設(老人ホーム)に入る
この時、父の考え方を理解できて良かったと思う反面で何か釈然としないものを感じました。
「父はもう92歳で、十分頑張ってきた」
「これかも一人暮らしを続けるという意識は素晴らしい」
「でも自力での一人暮らしはいつまでできるのか?一人暮らしは安全か?」
「父が安心して一人暮らしを続けるには、どうすればいいのだろうか・・・」
そう思った私は、いろいろなことを考え始めました。
親の一人暮らしはいつまで可能かを検討し始めたのです。
親の一人暮らしはいつまでできるのか
厚生労働省の「健康寿命の令和元年値について」によると、令和元年の男性の健康寿命は72歳、平均寿命は81歳あまり。
つまり最期の9年弱は、日常生活に何らかの支障があり、健康とは言えない状態で過ごすことになります。
父はもう92歳です。
健康寿命どころか、平均寿命もとっくに超えています。
92歳になるまで立派に生きてきましたし、これからも元気に健康で生きてほしいと思います。
でもしっかりと計画しないと年齢が年齢だけに、この先は元気に健康で生きるのは難しいかもしれない。
私は、父が安心して一人暮らしを続けるために次の3つのことを考えました。
- 心身の状態
- 必要な介護サービス
- お金のこと
心身の状態
まず考えたのは父の心身の状態です。
1年前とは大きく異なる心身の状態の変化に対応できるのか、どのように対応するべきか。
たとえば身の回りのことに関しては、特に入浴することが難しくなってきました。
ほぼ毎日入っていたお風呂も一週間に1回程度になったといいます。
お風呂場はすべるので転倒リスクも高い。
一人暮らしを続けるには入浴を何とかしないといけません。
さらに着替えやトイレの介助が必要になる時が、近い将来にやってくるかもしれない。
生活に必要な掃除や洗濯、食事の準備や片付け、ゴミ出しなども難しくなるでしょう。
意識や記憶といった、心の問題も考えないといけません。
今のところはしっかりしていますが、保険証や診察券がどこにいったかわからなくなったりすることも。
こういった心身の状態の変化にあわせて今後のことを考える必要があると思いました。
必要な介護サービス
こういった父の心身の状態に対応するためには、その時の父の状態にあった介護サービスを利用していく必要があります。
そこで一人暮らしの高齢者が利用すべき介護サービスの情報集めを始めました。
居宅介護サービスの利用
介護サービスについて調べていくうちに、一人暮らしで身の回りのことをするのが難しくなった父には、訪問介護と通所介護を組み合わせるのが良いとわかりました。
訪問介護(ホームヘルプサービス)は、ホームヘルパーに身体介護や生活援助をしてもらうことです。
さらに具体的にいうと身体介護とは、
- 食事、入浴、排説の介助
- 起床、就寝、着替えの介助
- 体位の変換、シーツの交換
- 移動、通院などの外出の介助
生活援助とは、
- 掃除や洗濯
- 生活必需品の買い物
- 食事の準備と調理
- 薬の受け取りなど
ホームヘルパーに訪問してもらい、こういった身の回りのことを介助してもらいます。
そして訪問介護だけでなく通所介護をあわせて利用すると効果的なようです。
通所介護とは、デイサービスとよばれるものでデイサービスセンターなどの福祉施設に通って、入浴や食事、機能回復のための訓練やレクレーションを行うこと。
施設に通うといっても実際は、家まで迎えに来てくれて、終わったら家まで送りとどけてくれます。
訪問介護と通所介護を上手に組み合わせれば、92歳の父でももう少し一人暮らしを続けられるかなという気がしました。
福祉用具を借りる
父が一人で暮らす家は、37年前に建てた家でバリアフリーではありません。
いろんなところに段差があって、足腰が弱くなった父にはいつも転倒リスクが伴います。
そこで必要になったのが手すりです。
介護ベッドや車いす、手すりや歩行器といった福祉用具は介護保険を使って安く借りることができます。
父は見た目が良くないといって、手すりをつけることを嫌がっていました。
でも見た目よりも安全第一ということで説得して、まずは脱衣所に手すりをつけました。
介護施設の検討もはじめる
介護サービスを上手に組み合わせて利用することで、父ももう少しの間一人暮らしが続けられるかなと思ったものの、安全面から考えるとそれがベストなのかなという迷いもありました。
「92歳という年齢を考えても、24時間体制で見てもらう施設のほうが良いかな」
父は埼玉の越谷で一人暮らし、私は横浜で家族と暮らしています。
急いでいっても車で2時間はかかる距離です。
「いざという時に、すぐに駆け付けることのできる距離のほうが良いのでは」
そう思った私は、私の家のそばを中心に介護施設(老人ホーム)の検討もはじめました。
お金のこと
要介護認定を受けていれば支給限度額までは、1~3割の自己負担で介護サービスを受けられますが、そうはいっても介護サービスを受けるには、お金がかかります。
お金が尽きると、必要な介護サービスが受けられなくなってしまいます。
父と話し合った時に、貯金と年金の金額は確認済みです。
そして利用する介護サービスのおおよその費用と自己負担割合を計算します。
支給限度額をこえると10割になるので、できるだけ範囲内におさめる工夫をします。
貯蓄(貯金+年金)-現在の支出(光熱費や食費などの生活費) -利用する介護サービスの費用
この計算をして数字がプラスならば、問題なし。
この数字がマイナスになったら、徐々に貯蓄を食いつぶすことになります。
何年で底をつくか、何歳までこの状態でいけるかを計算して、必要な対策を考えることが必要です。
持ち家があれば、売るということも視野に入ってくるわけです。
要介護の認定が必要
父が安心して一人暮らしを続けるために、「心身の状態」、「必要な介護サービス」、そして「お金のこと」などを考えていた私ですが、このプランには要介護の認定が欠かせないことがわかりました。
1年前には何でも一人で出来た父だったので、現在の父の要介護認定区分は「一番下の「要支援1」です。
これを「要介護」にしてもらわないと、いろいろな不都合が生じます。
要支援から要介護に変更すべき理由は大きく3つあります。
- 使える介護サービスが違う
- 支給限度額と自己負担額が違う
- ケアプラン(介護サービス計画書)を作成担当が違う
使える介護サービスが違う
まずは本人の状態が前回の要介護認定の更新の時と異なること、「どうみても介護が必要でしょ」という状態になったので正しい要介護認定が必要なこと。
要支援のままだと使える介護サービスは介護予防サービスであり、ホームヘルパーに介助してもらうような訪問介護サービスを利用できません。
これでは一人暮らしを続けることは難しいです。
さらに介護付き有料老人ホームに入居する場合も、「要介護から」という入居条件がある施設が多いのです。
支給限度額(自己負担額)が違う
そして要支援と要介護では、介護サービスをうけるための支給金額が大きく違います。
例えば「要支援1」の場合は、5万320円が自己負担1割から3割で利用できる金額ですが、「要介護1」であれば16万7,650円まで利用できます。
3倍の差があります。
さらに支給限度額を超えた分は10割負担ですから、実際に支払う金額も全く異なります。
ケアプラン(介護サービス計画書)を作成担当が違う
そしてケアプラン(介護サービス計画書)の作成担当が違うということもあります。
要支援の場合、ケアプランの作成担当は地域包括支援センターで、要介護の場合には、ケアマネージャーという介護支援専門員になります。
これからの父の一人暮らしは、全部自力でやるのは無理。
訪問介護や通所介護、福祉用具のレンタルなどを上手につかって、できれば支給限度額の範囲内でおさえて自己負担を極力抑える。
そうすることで安全に長く生きることができます。
そのためにケアプランの作成と運営の専門家である、ケアマネージャーに綿密な計画を立ててもらう必要があります。
ということで、計画を実行するためにまずは要介護認定の区分変更の申請をしました。
まとめ|親の一人暮らしはいつまで可能かを検討する
親の一人暮らしはいつまで可能かを検討し始めた私は、父が安心して一人暮らしを続けるために次の3つのことを考えました。
- 心身の状態
- 必要な介護サービス
- お金のこと
要介護認定の区分変更の申請もすませて、計画を実行に移そうとしている時、計画に影響を与えるような出来事がおきました。
次は「在宅介護と施設介護の比較をはじめる」です。
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