偶然の出来事をチャンスに変える|プランドハップンスタンス理論

プランドハップンスタンス理論

プランドハップンスタンス理論という、偶然の出来事をチャンスに変えるキャリアの考え方を提唱したジョン・D・クランボルツというキャリア理論家がいます。

プランドハップンスタンスは、日本語訳では、計画された偶発性といいます。

偶然の出来事を無視したり、過小評価したりするよりは、偶然の出来事の持つ重要な役割を認識し、利用し、積極的に生み出すことを説いた理論です。

偶然の出来事は、人のキャリアに大きく影響を及ぼし、且つ望ましいものであるとしたのです。

この理論に共感する人もたくさんいますよ。

  • プランドハップンスタンス理論とは
  • 偶然の出来事をチャンスにするには
  • 偶然の出来事をチャンスに変えるスキル

この記事では、クランボルツのプランドハップンスタンス理論のポイントを簡潔に解説します。

目次

VUCAの時代に注目される理論

現代はVUCA(ブーカ)の時代といわれます。

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。

グローバル化、情報化などがすすみ、目まぐるしく変転する予測困難な時代ですね。

さらに人生100年時代で、多くの人が長く働く時代になりました。

少子高齢化で人口がへり、右肩上がりの経済ではなくなった日本では、終身雇用は難しく、個人のキャリア形成を予測することも一層難しくなりました。

こういった自分でコントロールできないことが多くなった現代において、注目されているのが偶然の出来事をチャンスに変えるプランドハップンスタンス理論です。

キャリアの8割が偶然の出来事で決まる

ビジネスに成功した人のキャリアを調べた結果、転機となった出来事の8割が、本人が予想をしなかった偶然の出来事だったといいます。

プランドハップンスタンス理論では、キャリアの8割が偶然の出来事から決まると考えます。

実際、クランボルツ自身も大学時代はテニスに夢中になり、なかなか進路を決めることができませんでした。

クランボルツが心理学の道に進んだのは、たまたまテニスのコーチが心理学の教授で、すすめられたからだそうです。

私にも偶然の出来事がチャンスに変わった経験があります。

アメリカに1年間自費留学して帰ってきた33歳の時に、外資系ネット通販のスタートアップの求人広告を偶然みたのです。

早速応募すると、英語を学んでTOFULのスコアをもっていたこと、前職が広告制作会社だったこともありすぐに採用されました。

マーケティング担当として入り、英国人からダイレクトマーケティングを学び顧客獲得に成功、本社CEOから認められて執行役員になりました。

これも偶然の出来事からはじまっています。

このように変化の激しい現代社会では、偶然の出来事がキャリア形成に大きく影響することが多いのです。

未決定はオープンマインド

これまでのキャリアの考え方は、完璧な目標を決めてから行動するというのが主流でした。

しかし、予測が困難な現代においては「私はこの仕事に就く」といったような計画を絶対視すべきではないとクランボルツはいいます。

目標設定は行動をするためには大切ですが、こだわりすぎると想定外のことが起こった時に対応できなくなり、チャンスを見過ごすかもしれません。

未決定でいることを悪いと捉えるのではなく、オープンマインドと捉えましょうということです。

大きな方向性をきめて、行動していくということが大切なのです。

偶然の出来事をチャンスにする

偶然の出来事をチャンスにするには、ただ待っていればいいということではありません。

偶然の出来事や出会いに対してポジティブな姿勢でいることが大切です。

まず新しい出来事や人との出会いを大切にします。

目の前で偶然の出来事が起こったときに、それを「チャンス」と気がつくということも必要になります。

チャンスと思わずに行動しなければ、偶然の出来事もおこりません。

また出来事は大きければ良いわけではなく、小さいものでもその人にとって大きな転機になることもあります。

興味のあることにアンテナをはって、自ら積極的に行動していくことで偶然を引き寄せることがあるのです。

偶然の出来事をチャンスに変えるスキル

プランドハップンスタンス理論では、偶然の出来事を積極的に生み出しチャンスに変えるために、5つのスキルが必要だとしています。

偶然の出来事をチャンスに変えるスキル
偶然の出来事をチャンスに変える5つのスキル
  • 好奇心(Curiosity)
  • 持続性(Persistence)
  • 楽観性(Optimism)
  • 柔軟性(Flexibility)
  • 冒険心(Risk-taking)

①好奇心(Curiosity)

偶然の出来事をチャンスに変える、1つめのスキルは好奇心です。

好奇心をもって新しいことに興味を持つこと、新しい学びの機会を模索する。

好奇心をもって、新しい情報に触れる、新しいことをはじめる、はじめての人に会ってみる。

好奇心を持つことでいろいろな出来事に遭遇でき、偶然の出来事にあう可能性が高まるでしょう。

②持続性(Persistence)

2つ目のスキルは、持続性です。

新しいことをはじめても、はじめから全てが上手く行くということはめったにありません。

失敗してもあきらめずに継続することが大切です。 失敗に負けずに努力することで、偶然の出来事にあう可能性も高まります。

③楽観性(Optimism)

3つ目のスキルは、楽観性です。

自分の想い通りにすすまなくても、必要以上に落ち込まないで、「こんなこともあるさ」と楽観的に物事をとらえる。

新しい機会は必ずやってきて、それを自分のものにすると前向きに考えます。

不思議ですが「うまくいかない」と思えばうまくいきませんし、「うまくいく」と思えばうまくいくものです。

「自分はきっとうまくいく」と考えることで、偶然の出来事にあう可能性が高まります。

④柔軟性(Flexibility)

4つめのスキルは、柔軟性です。

ひとつのことに固執しすぎず、姿勢や状況を変えるフレキシビリティが必要です。

オープンマインドな姿勢で柔軟性をもった行動することで、偶然の出来事にあう可能性が高まります。

⑤冒険心(Risk-taking)

5つめのスキルは、冒険心です。

目の前にチャンスが来たと思った時に、思い切って飛び込む、チャレンジをする冒険心が大切です。

冒険心とは、リスクをとるということでもあります。

今ある状態を失うかもしれないというリスクをとって、思い切ってチャレンジする勇気も時に必要です。

結果がどうなるか見えない状態でも、行動をおこすことで、偶然の出来事にあう可能性が高まります。

自分軸のセカンド・キャリアの始め方

プランドハップンスタンス理論は、セカンド・キャリアの選択にもあてはまります。

まず正しいプロセスにそって自分軸のセカンド・キャリアを決めることが大切です。

自分軸のセカンド・キャリアを決めるプロセス
  • 現状理解 ー 人生100年時代の社会や環境の変化などを現状と自分の現在位置を理解する
  • 自己理解 ー 自分棚おろしをして経験や価値観などから、自分らしさ(自己概念)を理解する
  • 働き方理解 ー セカンド・キャリアの価値軸、働き方の選択肢、キャリア理論などの理解する
  • 人生設計 ー ミッション・ビジョン・戦略・目標などの定年後の人生設計図を描く
  • 学び直し ー セカンド・キャリアに必要な学び直しを計画し無形資産を強化する
  • 意思決定 ー 意思決定プロセスで意思決定をして、実行可能な行動計画をたてる
  • 方策の実行 ー 行動計画とスモールステップを実行する

そして方向を決めたら行動を継続します。

セカンド・キャリアに向かって進み始めたときは、先が見えないことが多くなります。

ここでプランドハップンスタンスの5つのスキルが役に立ちます。

好奇心をもって学びの機会をさがし、失敗に負けずに努力する、自分はきっと上手くいくと楽観的な気持ちをもって、固執しすぎず柔軟に姿勢や状況を変えながら行動する。

人生後半のキャリアは、自分軸で始めること、冒険心をもってやりたいことにチャレンジすることで、視界が開けてきます。

冒険心をもったチャレンジは、結果がどうなるかは誰にもわからないことも多い、先が見えなくても5つのスキルを意識して前進するのです。

チャレンジを楽しみながら、自分軸のセカンド・キャリアに向かっていきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次