国家資格キャリアコンサルタントをこれからとる人のために、私が国家資格キャリアコンサルタントをとるまでの道のりをお伝えします。
以下は、国家資格キャリアコンサルタントをとるさいに私が実際に歩んだ道のりをあらわしたロードマップです。
- 養成講座の検討
- 説明会に参加
- 専門実践教育訓練給付の申請
- 養成講座を受講する(通信講座とスクーリング)
- 自主勉強会(論述・ロープレ)
- 受験申請
- 試験(学科・論述)
- 試験(面接)
- 合格発表
- 登録
このロードマップの順番で実際の体験ベースに解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
キャリアコンサルタントとは何かを知りたい方は、以下の記事を参照してください。
①キャリアコンサルタント養成講座の検討
キャリアコンサルタントになるには、「キャリアコンサルタント試験」に合格して、キャリアコンサルタント名簿に登録する必要があります。
そして「キャリアコンサルタント試験」を受けるには、以下のいずれかの要件を満たさなければなりません。
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方
- 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する方
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
- 上記の項目と同等以上の能力を有する者
つまり今までに経験がないのであれば、いちばん上のケースにあてはまり、キャリアコンサルタントへの道のりは厚生労働大臣が認定する講習を受講して受講資格をとることから始まります。
多くのキャリアコンサルタント資格保有者は、キャリアコンサルタント養成講座を受けて修了し、受講資格をえてから試験を受け合格するという道のりをたどるわけです。
ということで、まずはキャリアコンサルタント養成講座を選びましょう。
私の場合は、キャリアコンサルティング養成講座を2022年の12月ごろに探し始めました。
キャリアコンサルタント養成講座を選ぶポイント
Webで「キャリアコンサルタント養成講座」と検索してみると、たくさんの「キャリアコンサルタント養成講座」が表示されます。
ほとんどの人がはじめて「キャリアコンサルタント養成講座」を受ける訳ですが、たくさんありすぎてどの講座が良いのか迷ってしまう人も多いと思います。
私も迷いました!
ここでは、「キャリアコンサルタント養成講座」を選ぶときのポイントを紹介します。
コンサルティング評議会か日本キャリア開発協会か
キャリアコンサルタント試験は、2つの団体が実施しています。
「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会(通称:キャリ協)」と「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(通称:JCDA)」です。
どのキャリアコンサルティング養成講座を受けても、どちらの団体が実施する試験を受験することはできます。
ただ養成講座がどちらの団体の試験用にカリキュラムを構成しているかを知っておくほうが良いでしょう。
なぜなら「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」と「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会」で実技の試験内容が異なるからです。
「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」で受験したい、「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会」で受験したという好みがあれば、養成講座も各団体に対応しているものを選びましょう。
ちなみに私は第24回のキャリアコンサルタント試験を日本キャリア開発協会で受験して合格しました。
第24回の「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」と「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会」のそれぞれの受験者数、合格者数、合格率は以下のようになっています。
受験者数をみると「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」が「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会」の約2倍になっています。
合格者は学科、実技、両方受験者とも同じぐらいになっていますね。
オンラインの通信かリアルの通学か両方か
養成講座がオンラインの通信講座のみの開催か、リアルの通学講座か、それともオンラインの通信とリアルの通学の両方があるのかといった点も選ぶときのポイントになるでしょう。
オンラインの通信講座のよいところは、何といっても楽なことです。
インターネット環境があればZOOMなどで自宅や会社にいながら講座をうけることができます。
通学時間もありませんし、熱がでたときなどでも他の受講生にうつす心配をせずに受講できます。
一方、リアルで行われる対面の講座は、指定された時間に指定された場所に行って受講しなければなりません。
面倒な点もありますが、実際に人とあって行う講座ならではの良い点もたくさんあります。
先生や受講生どうしが仲良くなりますし、実際に人と対面でロールプレイを行うことで、キャリアコンサルティングのスキルを身につけやすいということもあります。
私は学科などの学習はテキストやeラーニングで行い、ロールプレイはリアルの通学で行うハイブリット型の養成講座を受けました。
試験の受講資格をえることはもちろんですが、リアルで会って時間をともにして、ご飯を食べたり飲みに行ったり、キャリアコンサルタントをめざす仲間ができたことが大きな収穫でした。
受講料金と教育実践給付金の対象講座か
キャリアコンサルタント養成講座は、厚生労働省によって学習すべき科目や範囲、時間などが定められています。
そのため必ず学ぶべき基本的な項目はありますが、講座によってテキストやプログラムなどの内容はさまざまで、受講料金も異なります。
またキャリアコンサルタント資格は、専門実践教育訓練給付制度の対象資格なので、多くのキャリアコンサルタント養成講座は申請することで給付金をうけることができます。
専門実践教育訓練給付制度を利用すると、受けた講座の受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講を修了したときに専門実践教育訓練給付金として支給されます。
さらに資格取得等をし、一定の条件を満たせば受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
つまり最大で受講費用の70%が支給されるわけです。
養成講座が給付金の対象講座であることを必ず確認しましょう。
専門実践教育訓練給付制度について詳しくは以下の記事を参照してください。
受講生の属性
養成講座をうけはじめると気になるのが、一緒に学ぶ受講生のことです。
私の場合は、50歳を過ぎての受講だったので、自分と近い年代の人もいると良いなあと思って講座を探していました。
20代や30代の若い人と話すのは楽しいですが、全員が若い人だと、なんとなく自分だけが違うという気分になります。
いろんな年代がいて、いい具合に同年代がいるとほっとできます。
キャリアコンサルティングを学ぶ50代や60代もたくさんいます!
受講生の男女比や年齢構成などをWebサイトやパンフレットなどで確認しましょう。
使われているイメージ画像や受講生の紹介などから、雰囲気を感じ取ることができます。
資料請求・イベントやセミナー
講座の雰囲気を感じるためにも資料請求をしてみましょう。
養成講座の案内そのものを手にして確認するのも大切ですが、資料請求をしたときの反応にも注目します。
レスポンスが悪い会社は要注意です。
こういうケースは、疑いましょう。
- 資料請求したけど音沙汰なし
- 電話がかかってきて出ないと音沙汰なし
- すぐに売り込みメールが送られてくるけど音沙汰なし
またキャリアコンサルティング養成講座の受講を検討している人向けの、無料の説明会やイベント、セミナーがあったら受けてみるのも良い方法です。
サポート体制や人脈
養成講座を卒業した後や、資格をとった後のサポートやつながりなども確認しましょう。
講座を修了してせっかく受講資格をとっても、ひとりぼっちになってしまってはモチベーションも続きません。
資格をとったあとに、ネットワークや人脈をつくれるか、活動する場があるか、活動しやすそうかなどもポイントになります。
私は日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座を選びました
私が最終的に選んだのは、日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座です。
日本マンパワーはキャリアコンサルティング養成講座(オンライン・通学クラス)を年に3回、全国で開催しています。
送られてきた日本マンパワーのキャリアコンサルティング講座の資料には、こんな特徴があると書いてあります。
日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座は、日本キャリア開発協会(通称:JCDA)のキャリアコンサルティングの考え方が基本になっています。
ですからキャリアコンサルティング協議会(通称:キャリ協)で受験したい人にはあまりおすすめできません。
私はこの講座を選んで正解でした!
ここからは私が日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座を受けて良かったと思う点を紹介します。
キャリアコンサルティングの考え方があっていた
日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座は、自己概念とありたい自分に注目します。
自己概念とありたい自分について詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
キャリアコンサルティングを受けるクライエント(相談者)に好意的関心をもって傾聴し、質問し、自己概念に自分で気がついてもらうようにすることがキャリアコンサルティングの基本になります。
クライエントに経験を話していただき内省を促すことで、自分らしさは何か、自分にとって大切な価値は何か、自分にとって良いと思う方向な何かといったことを気づいていただくのです。
自律的にありたい自分を描いていただけるようにするのがキャリアコンサルタントの役割であり、指示をしたり誘導したりということはしません。
クライエントの話を傾聴し、質問し、自分らしい働き方を自律的に描くことができるように支援するのがキャリアコンサルタントです。
私はこの考え方がとても気に入りました。
実際にこの方法でキャリアコンサルティングをしたり、キャリアコンサルティングをうけたりすると効果を実感することができます。
また自己概念とありたい自分に気がついていただくキャリアコンサルティングの仕組みについては、こちらの記事を参照してください。
通学とオンラインが選べる
日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座では、「通学」と「オンライン」を選ぶことができます。
「通学」を選んだ場合には、主に学科試験対策になる学習をWebでの通信教育(eラーニング)とテキストで行い、主に実技対策になる学習(スクーリング)を対面でのクラスで行います。
「オンライン」を選んだ場合は、学科対策は通信講座で行い、実技対策になる学習(スクーリング)もZOOMによるオンラインで行います。
つまりすべてがオンラインで行われ、実際に先生や受講生とリアルで会うということはありません。
私は通学タイプを選びました。
12日間のスクーリングで先生や受講生とリアルで会って一緒に勉強できてとても楽しかったです。
通学の魅力はなんといっても先生や受講生どうしが仲良くなれること。
またキャリアコンサルタントは人が相手なので、対面でロールプレイを行うほうが、表情や声の調子なども感じられやすく、キャリアコンサルティングのスキルを身につけやすいです。
職場も年齢もバラバラなクラスメートと、リアルで会って時間をともにして、ご飯を食べたり飲みに行ったり、キャリアコンサルタントをめざす仲間ができたことが大きな収穫でした。
というわけで私のおすすめは「通学」です。
振替ができる
日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座では、「通学」と「オンライン」を選ぶことができますが、振替で受講することもできます。
通学からオンラインへの振替、逆にオンラインから通学への振替も可能です。
違うクラスを体験したり、都合がつかなくなったときに日程を変えたり、オンラインの人が通学へ、通学の人がオンラインへ振替して体験できるので、とても便利です。
また病気になった時にオンラインで受けるといったこともできます。
私も養成講座の期間内にコロナにかかり発熱し、通学できなくなったのでオンラインで受講した経験があります。
振替ができてとても助かりました。
国家資格とCDAのダブルライセンス
日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座は、国家資格とCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格のダブルライセンスということをメリットとしてあげています。
この意味は日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座を受けて国家資格キャリアコンサルタントに合格すると、同時にCDA資格を取得することができるということです。
CDA資格とは、日本キャリア開発協会(JCDA)が認定しているキャリアカウンセラー資格で、全国に約2万名のネットワークがあります。
CDAは全国に支部があり、情報交換や交流会、イベントなどが開催されているのも特徴です。
ちなみに私は西関東支部、神奈川地区の所属です。
CDAについて詳しくは、以下のサイトから確認してください。
②キャリアコンサルタント養成講座の説明会に参加
どの「キャリアコンサルタント養成講座」を受講するかだいたい決めたら、説明会やイベントに参加してみるのが良いです。
私は日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座の説明会に2022年の12月に参加しました。
説明会では、養成講座の内容や特徴などの説明や、参加者どうして話し合いをしてみたり、申し込みの手順の説明をきいたりすることができました。
また養成講座の卒業生も参加されていて、実際の体験談などを共有してくれました。
テキストも展示してありましたよ。
実際に説明会に参加することで、理解がすすみますし、どんな感じなのかイメージできます。
わからないことは、どんどん質問しましょう。
説明会に参加すると、割引クーポンがもらえたり、自分の都合の良い日時のクラスを仮申し込みしたりすることもできます。
③専門実践教育訓練給付の申請
養成講座の仮申し込みをしたら、期限までに専門実践教育訓練給付の申請をしましょう。
私は養成講座に仮申し込みをしてすぐに申請しました。
専門実践教育訓練給付制度とは、中長期的なキャリアアップを国がサポートしてくれる制度です。
専門実践教育訓練給付制度を利用すると、受けた講座の受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講を修了したときに専門実践教育訓練給付金として支給されます。
また資格取得等をし、一定の条件を満たせば受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
つまり最大で受講費用の70%が支給されるのです。
利用しない手はないですね。
専門実践教育訓練給付の申請は、管轄しているハローワークで行います。
ハローワークで「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」という用紙もらい、必要な項目を書いて提出します。
以下の項目の記入が必要になりますが、これらの項目は受講する施設(講座を主催している会社)からもらうことになります。
- 指定番号
- 教育訓練施設の名称
- 教育訓練講座名
- 受講開始予定年月日 / 受講修了予定年月日
受ける講座の運営施設に確認しましょう。
以下が、専門実践教育訓練給付の手続きの流れですが、ステップ⑤までは受講の1か月前までに完了しましょう。
- ステップ①受給資格の確認
- ステップ②資格や講座を決める
- ステップ③講座の仮申し込み
- ステップ④ハローワークに受給資格確認申請をする
- ステップ⑤受給資格者証を取得
- ステップ⑥ハローワークに支給申請
- ステップ⑦給付金の受取り
詳しくは以下の記事を参照してください。
④キャリアコンサルタント養成講座を受講する(通信講座とスクーリング)
キャリアコンサルタント養成講座の本申し込みが完了したら、いよいよ養成講座のはじまりです。
私は日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座を受講しましたので、日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座の場合を紹介します。
日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座に申し込むと、使用するテキストや資料一式が段ボール箱で送られてきます。
養成講座の受講方法やスケジュール、テキストや資料などをよく確認して受講の準備をします。
日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座の場合には、大きくわけて「通信教育」と「スクーリング」という2つの流れで講座のカリキュラムを受講します。
- 通信教育 ― 主に学科試験対策でWebマイページとテキストを使いながら自学習する
- スクーリング ― 主に実技試験対策で先生から学ぶ、生徒同士でトレーニングする
そしてスクーリングはZOOMで行うオンラインクラスと、対面で行う通学クラスを選ぶことができます。
私は通学クラスを選んだので、講座受講期間に12回通学しました。
学科試験対策の通信教育は、指定されたIDとパスワードでWebマイページにログインし、動画や資料にアクセスをして行います。
紙ベースのテキストも参照しながら自分のペースで決められた期間内に学習していくことになります。
通信教育には添削問題もついており、すべての添削問題で60点以上をとる必要があります。
スクーリングは通学・オンラインとも全12回で構成されており、96時間の講座に76時間以上の出席と修了認定試験60点以上が修了基準となっています。
通信教育とスクーリングの両方の修了基準を満たすことで、キャリアコンサルタント養成講座の修了が認定されて修了証をいただくことができます。
添削問題の点数が悪すぎたり、欠席が多かったりすると終了できません。
修了証は国家資格キャリアコンサルタント試験の受講申請に必要になりますので、大切に保管しておきましょう。
⑤自主勉強会の開始
日本マンパワーのキャリアコンサルティング養成講座の受講期間は約5か月間です。
多くのキャリアコンサルティング養成講座がそうですが、講座を受講しただけでは試験対策としては十分ではありません。
私の場合は、3月から通信教育を開始し、4月はじめから7月末までスクリーニングで計12回通学をしました。
私が受けた第24回キャリアコンサルタント試験は11月なので、8月の頭から11月の学科と実技の試験日までは約3か月余りあります。
実は養成講座が終了したあとの期間の過ごし方が、試験に合格するためにとても重要な期間なのです。
私はこの期間に、クラスの受講生仲間と自主勉強会を毎週土曜日に、計17回開催しました。
自主勉強会で行ったことは、実技試験対策です。
実技試験は論述試験と面接試験がありますが、それぞれ正しい試験対策が必要です。
論述試験とは逐語録といわれる相談者とキャリアコンサルタントの会話を書いた文章を読んで設問に答える試験。
面接試験はロールプレイといわれるもので、受験者がキャリアコンサルタント役になり、実際に15分のキャリアコンサルティングを行い、終了後に試験管からの質問に答える試験です。
座学ではできないこういった内容の実技試験は、ひとりで試験対策を行うことが難しいのです。
そこで多くの受験生は有料の実技試験対策講座を受けるか、試験経験者のアドバイスをもらいながら仲間と一緒に正しい方法で勉強会をすることが必要になるのです。
私の場合は、先輩にサポートを頂きながら自主勉強会を開催して、仲間と一緒に論述の読み合わせやロールプレイを行うことで実技試験対策を行いました。
受験のための勉強法
ここで少し受験のための勉強法について解説します。
試験対策をするためには、試験の内容を理解することが大切です。
キャリアコンサルタント試験は、「学科」と「実技」にわかれます。
そして実技試験には「論述」と「面接」があります。
- 学科 ― 4つの選択肢から1つを選ぶマークシート方式の問題が50問(100分)
- 実技(論述)― 事例ⅠとⅡの逐語録を読み、4つの設問の解答を解答用紙に記入(50分)
- 実技(面接)― ロールプレイを行い(20分)、終了後に試験官の質問に答える(5分)
効果的な試験対策を行うには、それぞれの試験内容にあった効果的な方法で勉強することが大切になります。
前述しましたが実技試験は、「キャリアコンサルティング協議会」と「日本キャリア開発協会」で試験内容が異なりますのでご注意ください。
ここでの解説は日本キャリア開発協会(JCDA)の試験内容のものです。
学科試験の対策
学科試験対策はなんといっても過去問を解くことです。
国家試験は出題範囲が改定された第15回以降の過去問を解いて自分が理解していない部分や間違いやすいところを克服していくことです。
過去3回分までの過去問は、公開されています。
過去3回分よりも前の過去問は先輩等から入手するか、「みんなで合格キャリアコンサルタント試験」(通称:みん合)の有料会員になると入手できます。
■「みんなで合格キャリアコンサルタント試験」
みん合の有料会員になると過去問の解説も読むことができるので、使っている人は多いです。
本も「テキスト&問題集」というものと、「総仕上げ問題集」という2つのタイプで販売されています。
私はみん合の有料会員になるときに、あわせて「総仕上げ問題集」を買いました。
学科試験で過去問を解いたら、カテゴリごとにまとめて過去問を学ぶ方法がおすすめです。
学科の出題内容は以下のようなカテゴリにわけることができます。
- 社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解
- キャリアコンサルティングの役割の理解
- キャリアに関する理論
- カウンセリングに関する理論
- 職業能力の開発の知識(リカレント教育を含む)の知識
- 企業におけるキャリア形成支援の知識
- 労働市場の知識
- 労働政策及び労働関係法並びに社会保障制度の知識
- 学校教育制度及びキャリア教育の知識
- メンタルヘルスの知識
- 中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
- 人生の転機の知識
- 個人の多様な特性の知識
- カウンセリングの技能
- グループアプローチの技能
- キャリアシートの作成指導及び活用の技能
- 相談場面の設定
- 自己理解の支援
- 仕事の理解の支援
- 方策の実行の支援
- 新たな仕事への適応の支援
- 相談過程の総括
- キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動
- 環境への働きかけの認識及び実践
- 自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識
学科の問題は、これらのカテゴリの組合せで全50問がつくられているわけですが、過去問をカテゴリごとに学ぶことで問題の関連性を理解し知識を高めることができる訳です。
それ以外にも、私が使った本を紹介します。
「キャリアコンサルティング理論と実際」はキャリアコンサルティングのバイブル的な存在で、ここから出題されることも多いという本です。
「キャリアの心理学」は、キャリアの理論家9名の代表的な理論を解説した本です。
- ドナルド・スーパー
- ジョン・ホランド
- マーク・サビカス
- ハリィ・ジェラッド
- ジョン・クランボルツ
- エドガー・シャイン
- ダグラス・ホール
- ナンシィ・シュロスバーグ
- サニィ・ハンセン
これらの代表的な理論家のキャリアに関する理論を体系的に学びたい人にはおすすめの本です。
論述試験の対策
論述試験対策は、過去問をといて勉強会で読み合わせをするのが効果的です。
論述試験の問いは以下のような4つの問いです。
- 事例Ⅰと事例Ⅱの違いを、5つの指定語句を使って解答する
- 事例Ⅰと事例Ⅱの下線の部分が「相応しい」か「相応しくない」かと、その理由を解答する
- キャリアコンサルタントとして、相談者の問題と思われる点を解答する
- 事例Ⅱのやりとりの後、どのように面談を展開していくかを解答する
論述試験には学科のように正解や模範解答といったものがありません。
そこで役立つのが過去の経験からくる先輩方のアドバイス。
先輩方のアドバイスをうけながら皆で読み合わせをすることで、次第に自分の解答パターンをつくる力がついてきます。
また過去問を解いてみるとわかりますが、論述試験は時間との勝負でもあります。
4つの問いの解答を鉛筆やシャープペンシルで記入していくのですが、50分という時間はぎりぎりの時間です。
PCで文字を打つことに慣れ、鉛筆を使わなくなった人にとっては、これが結構難しい。
自分の解答パターンをもつことで、焦らずに時間内に解答を記入することが可能になります。
面接試験の対策
面接試験対策は、ロールプレイを繰り返して経験を積むしかありません。
勉強会で3人1組になってロールプレイをするのが効果的です。
たとえば3人が以下のような役割をしながら、15分のロールプレイをします。
- Aさん ― キャリアコンサルタント
- Bさん ― クライエント(相談者)
- Cさん ― オブザーバー
15分のロールプレイが終わったら、オブザーバーがキャリアコンサルタントに口頭試問をします。
ロールプレイと口頭試問が終了したら、キャリアコンサルタント、クライエント、オブザーバーの順でフィードバックをして気づきなどを共有します。
1回目がおわったら、2回目は役割を変更します。
- Bさん ― キャリアコンサルタント
- Cさん ― クライエント(相談者)
- Aさん ― オブザーバー
さらに2回目がおわったら、3回目も役割を変更します。
- Cさん ― キャリアコンサルタント
- Aさん ― クライエント(相談者)
- Bさん ― オブザーバー
このようにロールプレイを繰り返すことで、面接試験の準備をします。
キャリアコンサルタント役のポイントは、クライエントの考えを決めつけたり、誘導したりしないことです。
好意的関心をもってクライエントの話を傾聴し、経験を再現するような質問をし、内省を促すことで、クライエントが自律的にありたい自分を描けるように支援します。
⑥受験申請
受験をするには受験申請が必要です。
あらかじめ受験申請の期間や試験日程を確認しておき、期日になったら早めに申請しましょう。
私のうけた第24回は、11月5日が学科と論述の試験でしたが、受験申請は、8月半ばから約2週間でした。
試験の日程は以下から確認できます。
受験申請期間に申請をわすれてしまうと受験できません。
私の知り合いに受験申請を忘れて受験できなかった人がいました。
受験申請は、Web申請が便利です。
具体的な申請方法は以下のページから確認できます。
実際のWeb申請も、このページから行います。
受験申請が受理されると、三つ折りハガキの受験票が届きます。
宛名面が、学科・実技(論述)の受験票で、裏面は実技(面接)の受験票になっています。
日時や試験会場、当日の持ち物などが書いてありますので、確認しましょう。
受験票は試験当日必要ですので、大切に保管して試験当日に備えます。
⑦試験(学科と論述)
いよいよ試験です。
試験は2回にわけて行われます。
まず1回目は、学科と実技(論述)の筆記試験。
私が受けた第24回は、11/5の日曜日でした。
- 受験票
- 鉛筆またはシャープペンシル
- 消しゴム
- 時計
などを忘れないようにしましょう。
試験会場は大学などになることが多いようです。
私のときは、東大駒場キャンパスでした。
午前中は100分の学科試験、お昼休みをはさんで、午後は50分の論述試験になります。
まわりにお店などがあればいいですが、時間に余裕がなくなるのでお弁当は持参するのが良いと思います。
仲間がいれば一緒に食べたり、話したりして、リラックスすることができますね。
試験後には、「やっと終わったから一杯飲むか」ということになり、みんなで楽しい時間を過ごしました。
⑧試験(面接)
学科試験が終わると、実技の面接試験になります。
面接試験は、学科試験の次の土日と、さらに次の土日の4日間のうちのどれかの日に指定されます。
4日間のうち、どの日になるかは受講票を受け取るまでわかりませんが、誕生日順になっているようです。
私は6月生まれなので2日目の日曜日が面接試験になりましたし、12月生まれの人は4日目の日曜日になりました。
面接試験は緊張しますが、勉強会である程度のロールプレイの練習を正しく行っていれば大丈夫です。
好意的関心をもって傾聴することに注力して、口頭試問にも自信をもって答えましょう。
⑨合格発表
合格発表は面接試験が終了してから約1か月後にあります。
私の場合は、学科・論述試験が11/5で、面接試験が11/12、合格発表が12/18でした。
この1か月間は結構長く感じますね。
そしていよいよ合格発表の日、午前10時になると「キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)」と「日本キャリア開発協会(JCDA)」それぞれのページに結果が掲載されます。
ここから学科と実技の結果をPDFでダウンロードして、自分の受験番号を探します。
自分の番号があれば合格、なければ不合格です。
ドキドキの瞬間でした
学科と実技の両方が合格していれば、はれて国家資格キャリアコンサルタント試験に合格です。
それでは合格通知書はいつとどくのでしょうか?
合格発表の日から1週間以内に、以下のような合格通知書と合格証書が郵送で送られてきます。
Webで確認したものの半信半疑だったけど、このハガキをみて合格したことを実感したという人も多いようです。
合格基準
ここで合格基準について確認しておきましょう。
以下のキャリアコンサルタントの試験内容の赤枠で囲った部分が合格基準になります。
学科試験は100点満点で70点以上の得点で合格です。
問題は全部で50問、1問が2点の配点、35問以上の正解で合格となります。
実技試験は論述が50点満点、面接が100点満点、計150点満点の90点以上で合格です。
ただし論述と面接試験の各評価区分のいずれにおいてものいずれにおいても40%以上の得点が必要になります。
論述で40点近くの点数をとっておきたいところですね。
実技試験では、もし論述がうまくできなかったと思っても決してあきらめてはいけません。
なぜなら論述は自分ではできなかったと思っていても、通知をもらったら思っていた以上に得点できていることも多く、面接で挽回できるチャンスが十分あるからです。
参考までに以下は第1回から第24回までの合格率です。
学科試験は合格率の波が大きいことがわかります。
難易度が高くなり低くなりというような波がありますね。
私が受けた第24回は実技で合格したけれど、学科で不合格になったという人が多かった気がします。
➉国家資格キャリアコンサルタントの登録
国家資格キャリアコンサルタントの有資格者として「キャリアコンサルタント」を名乗るには、キャリアコンサルタント名簿に登録する必要があります。
合格しただけでは登録証を受け取ることができませんので、合格証書のハガキが来たら、忘れないうちに登録申請をしましょう。
登録申請から登録証の交付までの流れは、合格証書のハガキの裏面にかいてあります。
①マイページから登録申請
②登録センターで受理・審査
③登録手数料の支払い
④登録証の交付
⑤郵送証の郵送
①マイページから登録申請
まずは合格証書のハガキの裏面にあるQRコードを読み取る、またはURLを入力するかをして国家資格キャリアコンサルタントWEBサイトにアクセスします。
アクセスしたらページの下の方にスクロールすると以下のような部分があるので、「マイページからの登録申請はこちら」をクリックします。
マイページにメールアドレスを登録して仮パスワードを受け取り、マイページにログインしたら手順に従って登録申請をします。
マイページで内容を確認し、以下の登録申請書類一式を準備します。
- 登録申請書(マイページからダウンロードして記載する)
- 登録免許税(9,000円の収入印紙を購入し、登録申請書に貼る)
- 住民票
- キャリアコンサルタント登録申請補足資料(マイページからダウンロードして記載)
登録申請書類一式がそろったら、登録センターへ簡易書留で郵送します。
PDFを印刷し郵送するというひと昔前のような申請方法です。
②登録センターで受理・審査
申請書類が到着してから、登録センターで審査がはじまります。
審査には4週間程度かかるということです。
状況はマイページから確認できるので、時々マイページを見てみましょう。
③登録手数料の支払い
審査が完了すると通知メールが届きます。
手順にしたがって登録手数料(8,000円、非課税)を支払います。
④登録証の交付
登録手数料の入金が確認されて登録証が発行されます。
ここでも交付までには4週間程度かかります。
⑤登録証の郵送
登録証は簡易書留で郵送されます。
名前と生年月日に間違いがないか確認しましょう。
これで正式にキャリアコンサルタントを名乗ることができます!
キャリコンサーチに登録する
合格証書のハガキの裏面にかいてある登録申請から登録証の交付までの流れはここまでですが、もうひとつ大切なことがあります。
それはキャリコンサーチへの登録です。
「キャリコンサーチ」とは国のキャリアコンサルタント名簿に登録している「キャリアコンサルタント」が登録することができるキャリアコンサルタント検索システムです。
登録している「キャリアコンサルタント」と「キャリアコンサルタントを探したい企業担当者や個人等」ご利用者とのマッチングを支援するキャリアコンサルタント検索システムですね。
キャリコサーチへの登録もマイページから行います。
マイページのメインメニュー、赤枠で囲った「キャリコンサーチ」をクリックして登録を開始します。
キャリコンサーチ内の私のページはこんな感じになっています。
CDAへの登録と入会
日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座の特徴のひとつに国家資格とCDAのダブルライセンスであるということがありました。
国家資格に登録したら、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の登録も検討しましょう。
CDA資格の登録は必須ではありません。
CDAになるメリットは、キャリアコンサルタント仲間とネットワークづくりができることです。
全国に2万人のネットワークがあり、情報交換や交流会、イベントなどが開催されています。
CDAの資格認定と入会方法について詳しくは以下のページを参照ください。
まとめ|キャリアコンサルタントの資格をとるまで
キャリアコンサルタントになろうと決めてから実際に国家資格キャリアコンサルタントを名乗れるようになるまでには約1年の時間がかかります。
養成講座を決めて学び始め、自学習や勉強会に参加し、受験申請、試験、合格と登録など、かなりの時間と労力を費やすことになります。
あなたがそれだけの時間と労力をかけてもキャリアコンサルタントになろうと決めたなら、この機会にチャレンジする価値があります。
キャリアコンサルタントは、人々が自分らしく働くための支援をするキャリアの専門家。
そしてキャリアというのは実は人生そのものです。
キャリアコンサルタントの学びをして、人生観が大きく変わったという人も多くいます。
そしてキャリアコンサルタントとして、働き方や生き方に悩んでいる人、不安を持っている人の役にたてるのは素晴らしいことです。
誰かの人生を支援することで役にたちながら、自分の人生も精一杯生きていく、そんな仕事がキャリアコンサルタント。
定年後のセカンド・キャリアにするために学ぶ人も多いのも納得ですね。
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