会社員には60歳定年という制度があります。
40年近くの会社員生活を務めあげ、みんなに拍手で見送られる。
花束をもって家に帰ってくると、妻が玄関で出迎えて
「あなた、長い間お疲れ様でした!」
そんなドラマのシーンが昭和の時代は、あったように思います。
サザエさんがテレビで放送開始になったのは昭和44年、波平の年齢は54歳です。
波平よりも年上です!
そのころの定年は55歳で60歳から年金受給開始、平均寿命は70歳程度ですから、退職金を銀行にあずければ利息もついて、まさに「定年後は年金で悠々自適の生活」を送れました。
再雇用制度なんてもちろんありません。
でも今は、全く違いますね。
人生100年時代といわれ、60歳の定年で働くことをやめることができない人がほとんど。
会社員の場合に、60歳定年でくるのが再雇用制度の決断。
再雇用制度を利用して、今の会社で働き続けるのか?再雇用以外の選択はあるのか?
再雇用は60歳定年後のベストな選択か?再雇用の給与はどうなる?
何がベストな働き方かは個人の状況や考え方で違います。
でも様々な状況や声を知れば知るほど、再雇用が定年後の働きかたのベストな選択ではないのでは?と思えてきます。
再雇用制度のメリットとデメリット
人生100年時代といわれる今の時代は、60歳定年で引退する人はほとんどいません。
働くのをやめることができないというのが現実です。
そして60歳以降の雇用継続の方法として、多くの会社で導入されているのが「再雇用制度」です。
年金受給開始年齢が、60歳から65歳に移行されるのにあわせる形で導入された日本独特の制度です。
そして多くの会社員は、60歳定年時に再雇用を選択して定年後も同じ会社で働くことにします。
再雇用のメリットは何でしょうか?
このくらいでしょうか。
60歳でいちど退職をして退職金を受け取ることができる。
新しい仕事を探すこともできるけれども再雇用を選ぶのは、「なんとなく安心」、「失業の危険がない」という守りの気持ちが大きいのだと思います。
一方で再雇用のデメリットは
などがあります。
今の世の中、誰かに雇われて働いているか限り「失業の危険」は常にあります。
給与とモチベーションが大きくさがって、それでも今の会社で働き続けるのは、人生100年時代においては、もっともリスクの高い選択かもしれません。
再雇用が70歳までだったら
再雇用を考える際に、重要になってくるのが国や会社の方針です。
再雇用を選択するということは、「ひとつの会社に身をゆだねる」わけでるから、会社がどう考えているかを理解することが重要になります。
会社が60歳以降も継続雇用をするのは、高年齢者雇用安定法、通称「70歳就業確保法」による国の指示があるからです。
この高年齢者雇用安定法、通称「70歳就業確保法」が2021年4月1日に改定されました。
今回の改定により労働者を60歳まで雇用していた会社は、以下のいずれかの措置を取る努力義務が課せられました。
- 70歳までの定年引上げ
- 定年制そのものを廃止
- 70歳までの継続雇用制度の導入
- 70歳までに継続的に、業務委託契約を締結する制度の導入
- 70歳までに継続的に、事業者が自ら実施する社会貢献事業、あるいは事業者が委託・出資等をする団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入
改正は大企業に対する努力目標ですが、いずれ中小企業にも広がっていくと思われます。
現在は多くの会社で「60歳定年」で会社をいったん退職してから、期間1年の契約社員として再雇用して65歳までの雇用を確保するという再雇用制度をとっています。
今回の改定案でいけば、「③70歳までの継続雇用制度の導入」が再雇用制度にあたるので、再雇用を70歳まで延長するという方向にいくのだと思います。
でも60歳で結んだ再雇用契約を70歳まで同条件でそのまま延長する保証はありませんし、たとえ延長したとして、それはそれで恐ろしいと思いませんか?
70歳まで同じ会社にいるのは、私には想像できません!
こんなシナリオもありえるのです。
- 55歳で役職定年
- 60歳定年で、やむを得ずに再雇用を選択
- 年金受給開始年齢70歳に引き上げられる
- 65歳で引退しようかと思ったが、老後資金を考えると難しそう
- つらいけど再々雇用で70歳まで働く決心
これでは、60歳からの人生後半戦は、つらいものになってしまいそうです。
再雇用制度で給与はどうなるのか?
では再雇用で給与はどうなるのでしょうか?
すこし前のデータですが、東京都産業労働局行った「高齢者の継続雇用における実態調査」によると定年時を10とした場合に、5割未満が11.7%、5~6割未満が23.3%、6~7割未満が15.3% となっています。
再雇用の場合は、ほとんどの場合で給与ダウンになり、60歳までの半額程度になる人も一定数いることがわかります。
コロナもあって経済がいっそう厳しくなっている最近では、減額される人の割合はさらに大きくなっているのではないかと思います。
先ほどのシナリオに給与をあわせてかんがえてみると、こんなことになるかもしれません。
もしも55歳時点の給与が1,000万円だったら
- 55歳で役職定年→半分の500万円に
- 60歳定年で、やむを得ずに再雇用を選択→さらに半分の250万円に
- 年金受給開始年齢70歳に引き上げられる
- 65歳で引退しようかと思ったが、老後資金を考えると難しそう
- つらいけど再々雇用で70歳まで働く決心→勤務時間の調整+さらに半分の125万円に
このシナリオは極端かもしれませんが、似たようなことは起きるかもしれません。
こうなると今まで会社に貢献してきた自負のある人にとっては、耐えられる金額ではないでしょう。
そして老後に必要な資金と給与の額を考えると65歳からは副業や新しいことをしなければと試みる。
でも60歳から65歳まで再雇用をとって働いてきた人が、65歳から副業をはじめるというのは至難の業です。
だったら60歳で再雇用を選択せずに、長く働けるもっと稼げる選択をすればよかった。
そんな後悔はしたくないですね。
再雇用制度でモチベーションは続くのか?
ある大手の会社に定年まで勤めて再雇用制度を選択して働き始めたWさんという方と、ある起業のセミナーでお会いしたことがあります。
Wさんは60歳定年で再雇用制度を選んで働き始めたもののやはり納得がいかずに、起業を視野に動き始めたところでした。
今までとやっている仕事の内容はほとんど変わらないのに、給与はほぼ半額になったとのことでこういっていました。
「これは、いじめだね」
再雇用はモチベーションに大きな影響を及ぼすこともあります。
Wさんは、結局は再雇用をやめて新しい働き口を無事にみつけて復活しました。
また一般社団法人定年後研究所(徳丸英司所長がが、定年制度のある会社に在籍する40歳から64歳の男女516人に「70歳定年に関する調査」実施したこんな結果もあります。
詳しくはこちらで
この調査によれば70歳定年を歓迎していない人が半数をこえているそうです。
一方で「70歳定年」が実現した場合の65歳以上の働き方についての質問では、45.7%が「今の会社で働き続ける」ことを選択すると回答。
さらに今の会社で働くことに不安があるかという質問では、96.1%が70歳まで今の会社で働くことに「不安あり」という回答になっています。
「今の会社で働くことに不安があるが、ほかに選択肢がないからやむを得ずに働く」
仕方なく今の会社で70歳まで働くというのが、本音なのかもしれません。
人生100年時代の後半戦を、仕方がなく働くのではなんとも残念ですね。
定年後の働き方→働くことは生きがいで健康にもいい
定年を迎えた多くの会社員が定年後の働き方に再雇用を選ぶのは、それ以外に現実的な選択肢がないと思っているのかもしれません。
でも実際は、定年後の働き方は「再雇用」だけではありません。
そんな方にはぜひ以下の記事を読んでいただきたいと思います。
人生100年時代、70歳まではみんな働く時代には「再雇用」を流れにませて選択するのは、もっともリスクが高いかもしれないのです。
給与もモチベーションも下がった状態で我慢して働くのではなく、好きなことやりたいことで働けば、人生の生きがいを感じるし健康にも良い影響があります。
50代は、60歳定年後の人生後半戦の準備をする時です。
人生後半戦の人生を考える、そのうえで60歳定年後にどうするかを、よく考えて決めるのが良いと思います。
インターネットとリモートワークが普通になった今、パソコンひとつ、自分ひとり、自宅でも稼ぐことができる時代です。
会社にいる今のうちから、人生後半戦の人生を考え、準備するのがベストです。
会社が主役ではなく、自分が主役でいきましょう!
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