ひとり会社の始め方|定年後はひとり会社のひとり社長で働く

ひとり会社の始め方

ひとり会社を始めるという働き方があります。

それは、ひとりで会社をつくって、ひとり社長になって仕事をする働き方。

人生100年時代で長くなった定年後の働き方のひとつの選択肢です。

私は、57歳でひとり会社をつくって、ひとり社長になりました。

定年も関係なく、自分のワクワクすることで、価値を提供して長く働くことにしました。

  • ひとり会社の始め方は?
  • ひとり会社の形態は?
  • ひとり会社をつくるのに、必要な書類は?

この記事では、ひとり会社の始め方について解説します。

目次

ひとり会社の始め方

今までは定年まで会社にいて、定年後は年金で暮らすのが普通でした。

でも人生100年時代には、変化の速い時代。

終身雇用も崩れて、いつまでも会社にいることが難しくなりました。

その結果、定年後は会社から離れて、ひとりで働く人が増えてきたのです。

起業家の年齢別構成をみても、実は60代の割合が多いのです。

ソース:中小企業庁2017年版「中小企業白書」

定年後は、自分の身の丈にあった起業をして、ひとり会社をつくるという人が増えているのです。

ひとり社長として働くには、会社をつくる必要があります。

会社をつくるというと大変そうと思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。

ひとり会社ですから、自分ですべて決められます。

昔は、会社をつくるために資本金1000万円、取締役は3名が必要でしたが、2006年に新会社法が成立して、会社をつくるハードルが大きくさがりました。

今は、資本金は1円、取締役1人という条件をクリアすれば法人を設立できるようになったのです。

会社をつくりたければ、ひとりで会社がつくれます。

ひとり会社の始め方の手順は以下です。

ひとり会社の始め方の手順
  • ①会社のサービス内容を決める
  • ②会社の形態を決める
  • ③会社名を決める
  • ④税理士・司法書士を選ぶ
  • ⑤事業年度を決める
  • ⑥役員報酬を決める
  • ⑦定款を作成する
  • ⑧法人の印鑑を作成する
  • ⑨個人の印鑑証明を取得する
  • ➉資本金を銀行に振り込む
  • ⑪登記申請する
  • ⑫会社設立を確認する

ひとり会社の始め方を手順にしたがって、ひとつずつ解説します。

①会社のサービス内容を決める

まずは会社のサービス内容を決めましょう。

誰に、どんな商品を提供するのか、どんなサービスを提供するのかを考えます。

半世紀にわたる人生を生きてきた、ミドル・シニアにおすすめなのは、専門家になることです。

あなたの今までの経験や知識、興味のあることで「誰かの悩み」を解決する専門家になりましょう。

ひとり会社は、すべてをひとりでやります。

あれもやろう、これもやろうというのではなくて、サービス内容を絞りこむことは、とても大切です。

「誰に」「何を」提供するかを決めたら、専門家ブログをつくりましょう。

専門テーマに特化した専門家ブログをつくることで、会社のサービス内容がはっきりします。

そして専門家ブログはひとり社長のビジネスの基盤になります。

専門家ブログは、テーマに興味のある人を集客したり、サービスを提供したり、あなたの専門性を示したりするために必要です。

また、会社をつくった後、銀行の法人口座を開設するときにも役に立ちます。

②会社の形態を決める

次に会社の形態を決めましょう。

2006年の新会社法により、いま新たに設立できる会社の種類は「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類です。

このなかで、ひとり会社をつくる選択肢になるのは、「株式会社」と「合同会社」です。

株式会社と合同会社の比較をまとめましたので、参考にしてください。

株式会社と合同会社の比較

株式会社のメリットは、社会的な信用が高いこと、株を発行して資金調達ができることなどです。

デメリットは、設立する費用が高いこと、決算公告の義務があること、役員の任期があることなどです。

一方、合同会社のメリットは、設立費用が株式会社に比べて安いこと、決算公告が必要ないこと。

デメリットとしていわれるのは、合同会社という形態の認知度が低く、社会的信用が株式会社に比べ低いことです。

ですが、アマゾンやアップルといった米国IT大手や、スーパーの西友も合同会社ですし、合同会社の認知度もあがっています。

というわけで、信用度が低いというのは、今はもうあまり当てはまらないと考えます。

また、ある程度の売り上げがある際に、個人事業主と比べて有利とされる税制面については、株式会社も合同会社も違いはありません。

ひとり会社は、設立費用も手間も少なくしたいところ。

設立費用が低く決算公告が必要ない、合同会社が、ひとり会社にはおすすめです。

株式会社に必要な決算公告には、手間と費用(最低75,000円かかる)が毎年かかります

わたしも合同会社の形態を選び、KMSI合同会社という、ひとり会社をつくりました。

③会社名を決める

次に会社名を決めましょう。

会社名をつけるときには、いくつかのルールがあります。

  • 使用できる文字を使う
  • 名前の前後に会社の形態をいれる
  • 同じ住所に同じ会社名は使用できない
  • 似ている会社名は避ける

使用できる文字を使う

会社名に使用できる文字は、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(大文字・小文字)、数字などです。

「&」や「-」などの記号も使用できますが、★や♪などは使用できません。

会社名をつけるさいには、注意しましょう。

名前の前後に会社の形態をいれる

会社名の前後に会社の形態をいれるというルールがあります。

「株式会社」や「合同会社」をいれるのです。

私の会社は、「KMSI合同会社」ですが、「合同会社KMSI」でも良いということですね。

同じ住所に同じ会社名は使用できない

同じ住所に同じ会社名は使用できないというルールもあります。

実際には、同じ住所に同じ会社名があるというのは考えにくいですが、同じ市内や町内にある会社名は紛らわしいので避けたほうが良いかもしれません。

似ている会社名は避ける

似ている会社名も避けましょう。

世の中にはたくさんの会社がありますから、同じ会社名というのは結構あります。

会社名を考えたら、インターネットで検索してみましょう。

同じ会社名があるか、その会社は何をしているかなどを調べます。

私も会社名を決める時に検索したら、同じ会社名があって、しかも葬儀屋さんだったということがありました。

会社名は、創業者であるあなたの想いがこもった会社名にしましょう。

④税理士・司法書士を選ぶ

会社名を決めたら税理士と司法書士を決めましょう。

会社設立を全て自分でやるという人もいますが、私は税理士と司法書士に依頼するのをおすすめします。

理由は、プロに任せたほうが間違いがないこと、わからないことを必死に調べてやる労力と時間を本来のビジネスに使ったほうが良いからです。

ひとり会社はやることがたくさんあります。

特に最初は、ブログをつくったり、サービスをつくったり、印鑑をつくったり、口座を開いたりと忙しい。

よくわからない登記は司法書士にお願いして、会計や決算の業務は税理士にお願いしたほうがスムーズです。

また税理士に会計処理をお願いすることで、税制対策や会計業務のアドバイスを得ることができます。

基本は自分で会計管理をするのですが、税理士のサポートをもらうことで、間違いのない会計業務を行うことができます。

税理士から司法書士を紹介してもらうというのも良い方法です。

⑤事業年度を決める

事業年度とは 会社の会計年度がいつからいつまでかということです。

会社は、1年に1回、年度末に決算書を作成し法人税の納付額を算出して決算をおこなわなければなりません。

例えば「4月1日から翌年3月31日まで」を事業年度としている場合、最終月の 「3月」 は「決算月」です。

そして会社設立日は、会社の登記申請をした日。

私の場合は、設立日が4月5日で、決算月は2月です。

KOHEI

子供の入学式にあわせて4月5日を設立日にしました。

ですので、最初の事業年度は、4月5日から2月末日になります。

次の年からは、3月にはじまって2月末までの1年間が事業年度ということになります。

⑥役員報酬を決める

次に役員報酬を決めましょう。

役員報酬とは簡単にいうと、ひとり社長の給与です。

給与は高いほどいいかというと、そうではありません。

というのも役員報酬の額によって、社会保険料と支払う税金が変わってくるからです。

ポイントは社会保険料と所得税が、できるだけ安くなるように決めること。

社会保険料は役員報酬の金額によって変わってきます。

高ければ高いほど、負担額が多くなります。

令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)

そして所得税は法人税よりも税率が高いために、役員報酬を高くすると所得税率があがって、結果的に会社にのこる金額がすくなくなります。

※所得税は最大税率45%、法人税は最大税率も23%です。(詳しくは、国税庁のページを参照してください。)

所得税の税率

法人税の税率

だからといって社会保険料と所得税を最安値にしようとすると、役員報酬の月額は45,000円以下にするということなります。

給与が45,000では、さすがに生活費をまかなえないですね。

このように、役員報酬額を決めるということは、社会保険料や税制の仕組みの理解が必要です。

売上と利益、会社の利益と個人の所得のバランスを見て、社会保険料と所得税の最適な金額にする必要があるのです。

こういった時に、役に立つのが税理士さんです。

税理士に本年度の売上の見通しを伝えて、最適な役員報酬額を決めるのがベストです。

また、役員報酬は年に1回しか変更できません。

⑦定款を作成する

定款を作成しましょう。

定款とは、簡単にいうと、会社の基本的なルールを定めた書類です。

会社を設立するさいには、定款を作成しなければなりませんが、合同会社の場合は株式会社と比べ記載内容も少なく、公証役場の認証手続きもいりません。

ご合同会社の定款には、以下のような項目を記載することになります。

定款の作成

定款は、会社の登記申請のさいに必要です。

私の場合、司法書士に必要事項を伝えて作成していただきました。

⑧法人の印鑑を作成する

会社をつくると法人印という、会社の印鑑が必要になります。

法人というだけあって、会社をもつということは個人とは違う人格をもつということになります。

そこで法人の印鑑や印鑑証明、銀行も法人口座が必要になるのです。

会社の印鑑は登記申請に必要となりますので、会社の印鑑をつくりましょう。

ひとり会社なので、高級な印鑑はいりません。

もちろん、お好みであれば高級でも良いですが・・・

法人の印鑑
  • 会社実印(代表者印)
  • 会社銀行印
  • 会社角印

この3本を用意しましょう。

3本セットになった、会社設立3本セットなどが便利です。

ご参考までに、私はコストをおさえて、以下でつくりました。


⑨個人の印鑑証明書を取得する

会社の登記申請には、個人の印鑑証明書も必要になります。

もし個人の印鑑登録をしていない場合は、市区町村の窓口で印鑑登録をする必要があります。

印鑑登録がすでに済んでいれば、印鑑登録証(カード)かマイナンバーカードで、印鑑証明書を受け取ることができます。

➉資本金を銀行に振り込む

会社を登記するためには、「払い込みがあったことを証する書面」というものを用意する必要があります。

これは何かというと、資本金があることの証明です。

個人の口座に資本金額を振込み、払い込んだ金融機関の口座の通帳のコピーをホッチキスで止めて、ページのつづり目に会社の実印で契印して作成します。

金融機関の口座のコピーするのは次のページです。

  • 表面(金融機関名が表示しているページ)
  • 裏面(金融機関支店名が表示しているページ)
  • 振り込みまたは入金した金額が記載されているページ

ネット銀行のさいは、名前と口座番号、入金があることを証明するコピーがあれば大丈夫です。

司法書士に依頼してあれば、こういった書面も司法書士の指示に従って作れば安心です。

ちなみに資本金は1円から可能ということになっていますが、1円ではビジネスができません。

仕入れをしたらすぐに資金がなくなります。

最低でも100万は資本金として用意しましょう。

⑪登記申請する

法人の登記申請に必要な書類は以下です。

法人の登記申請に必要な書類

必要な書類が揃ったら、会社の本店所在地を管轄する法務局(登記所)に登記をします。

私は司法書士にお願いしたので、簡単にできました。

⑫会社設立を確認する

会社の設立は、書類に不備がなければ申請から2週間ほどで完了します。

「登記事項証明書(登記簿謄本)」、「定款」、「印鑑証明書」を取るさいに必要な「印鑑カード」などは大切に保管しましょう。

会社設立にはいろいろな書類が必要

また会社ができたら、法人口座を開設しましょう。

法人口座の開設には審査があります。

ひとり会社でも比較的、口座開設しやすいGMOあおぞらネット銀行が便利です。

会社を設立したら、銀行の法人口座をつくりましょう。

比較的審査に通りやすく利便性の高い、GMOあおぞらネット銀行がおすすめです。

まとめ|ひとり会社の始め方

会社をつくりたければ、ひとりで会社がつくれます。

ひとり会社の始め方の手順は以下です。

ひとり会社の始め方の手順
  • ①会社のサービス内容を決める
  • ②会社の形態を決める
  • ③会社名を決める
  • ④税理士・司法書士を選ぶ
  • ⑤事業年度を決める
  • ⑥役員報酬を決める
  • ⑦定款を作成する
  • ⑧法人の印鑑を作成する
  • ⑨個人の印鑑証明を取得する
  • ➉資本金を銀行に振り込む
  • ⑪登記申請する
  • ⑫会社設立を確認する

定年後はひとり会社をつくって、あなたがワクワクすることで、ひとり社長として働くこともできます。

人生後半戦は、働くことを生きがい(ライフワーク)にして、楽しく長く働きましょう。

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