専門実践教育訓練給付制度をしっていますか?
専門実践教育訓練給付制度とは、中長期的なキャリアアップを国がサポートしてくれる制度です。
ミドル・シニアが将来の仕事のために学びたい、資格ととりたいという場合に、受ける教育訓練の受講料の半額を国が支給してくれます。
毎月の給料から雇用保険料を支払っている会社員なら、ぜひ利用したい制度ですね。
ミドル・シニアが定年後の新しい働き方をするためには学びが必要です。
あなたがワクワクすること、やってみたいことを学ぶサポートになるのが専門実践教育訓練給付制度です。
- 専門実践教育訓練給付制度を受給できる条件は?
- 専門実践教育訓練給付制度で受けることができる講座は?
- 専門実践教育訓練給付制度の手続きの流れは?
この記事では専門実践教育訓練給付制度をミドル・シニアが活用する方法について解説します。
専門実践教育訓練給付制度とは
国による働く人の支援のひとつに、教育訓練給付制度というものがあります。
これは働く人の能力開発やキャリア形成を支援して、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的とした国の制度です。
この制度を利用することによって厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了したときに、受講費用の一部が支給されます。
教育訓練給付制度にはいくつかありますが、その中でもミドル・シニアにおすすめなのが専門実践教育訓練給付制度。
専門実践教育訓練給付制度は、特に中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象となります。
ミドル・シニアが定年後の新しい働き方をつくるための学び直しや新しい学びをするさいには、この制度の活用を検討すると良いですね。
専門実践教育訓練給付制度を利用して、受けた講座の受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講を修了したときに専門実践教育訓練給付金として支給されます。
また資格取得等をし、一定の条件を満たせば受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
つまり最大で受講費用の70%が支給されます
専門実践教育訓練給付制度の受給条件
専門実践教育訓練給付制度は、誰でも利用できるわけではありません。
専門実践教育訓練給付制度を利用するには、受給条件を満たしていることが必要です。
ハローワークには以下のように記載されています。
受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、2年以上(※1))あること、受講開始日時点で被保険者(※2)でない方は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)であること、前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに3年以上(※3)経過していることなど一定の要件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)又は被保険者であった方(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給。
ハローワーク
簡単にいうと以下が専門実践教育訓練給付金の受給条件になります。
- 講座の受講開始日前までに通算して3年以上雇用保険の被保険者期間があること(はじめての支給なら2年以上)
- 被保険者期間を失ってから受講開始日までが1年以内であること
- 前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに3年以上経過していること
まだ少し難かしいでのでもっと簡単にします。
- 会社で3年以上、雇用保険料を支払っていること
- 会社を辞めた場合、離職日から受講開始日までが1年以内であること
- 過去3年以内に給付をうけていないこと
これならわかりやすいですね。
会社員の多くは、雇用保険料を毎月の給与から天引きされています。
長い間、会社に勤めてしっかり雇用保険料を支払ってきたミドル・シニアには、専門実践教育訓練給付制度を利用する資格があるのです。
もし会社をやめて、学び直しをしたり、新しい学びをしたり、資格を取得したいといった場合には、会社をやめてから講座の受講開始日までが1年以内であることが受給の条件になります。
私もサラリーマンを33年やってきて56歳で会社を辞めました。
57歳の3月から、専門実践教育訓練給付制度を利用してキャリアコンサルタントの国家資格をとります。
会社をやめてから1年以内が条件です。
専門実践教育訓練給付制度の対象資格
専門実践教育訓練制度は、中長期の能力開発やキャリア形成を支援するものです。
そのため、資格の取得などの目標資格を設定している講座や、大学や大学院の学位を取得することを目標としている講座などがあります。
たとえばミドル・シニアが以下のような資格を取得するために活用できますよ。
- キャリアコンサルタント
- 看護師、准看護師、助産師、保健師
- 介護福祉士(実務者養成研修含む)
- 美容師、理容師、保育士、栄養士
- 歯科衛生士、歯科技工士、社会福祉士
- 柔道整復師、精神保健福祉士
- はり師、あん摩マッサージ指圧師
- 臨床工学技士、言語聴覚士
- 理学療法士、作業療法士、視能訓練士
- 調理師
- 製菓衛生師
- 測量士補
- 職業実践専門課程
- 専門職学位課程
- 職業実践力育成プログラム
専門実践教育訓練給付制度の指定講座一覧
専門実践教育訓練制度を利用するためには、厚生労働大臣が指定する指定講座である必要があります。
教育訓練講座をを見るける方法を2つ紹介します。
厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」
こらからどの講座をうけようか、受けたい講座が指定講座かどうかを確認するには、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」が便利です。
利用方法を解説します。
ますは以下のボタンをクリックして、厚生労働省の教育訓練給付制度のページへいきます。
ページを下にスクロールすると、下の左のようなバナーがあるので①クリックします。
続いて②「講座・スクールを探す」をクリックします。
ここでは例として、キャリアコンサルタントの資格をとるための講座を探してみます。
③「キャリアコンサルタント」と入力して、④「実施方法」のチェックを3つとも外して、⑤「検索」をクリックします。
これでキャリアコンサルタントの資格をとるための講座を運営している施設の一覧が表示されます。
あなたが学びたいこと、とりたい資格などの養成講座を探してみましょう。
マナパス
マナパスは、社会人の学びを応援するサイトです。
いろいろな講座を、場所、学校種別、課程、通学/通信、金額などで検索できます。
その他の条件という部分の、「教育訓練給付制度対象講座」にチェックを入れて検索すれば、教育訓練給付金の対象講座を絞りこめます。
また、すでに受けたい講座がわかっている場合には、専門実践教育訓練制度が利用できるかを運営施設に聞いてみるのがはやいです。
専門実践教育訓練給付制度の手続きの流れ
ここからは、専門実践教育訓練給付制度の手続きの流れを解説します。
- ステップ①受給資格の確認
- ステップ②資格や講座を決める
- ステップ③講座の仮申し込み
- ステップ④ハローワークに受給資格確認申請をする
- ステップ⑤受給資格者証を取得
- ステップ⑥ハローワークに支給申請
- ステップ⑦給付金の受取り
それぞれのステップを確認しましょう。
ステップ①受給資格の確認
はじめに受給資格があるかをハローワークに確認しましょう。
以下が専門実践教育訓練給付制度の受給条件でした。
- 会社で3年以上、雇用保険料を支払っていること
- 会社を辞めた場合、離職日から受講開始日までが1年以内であること
- 過去3年以内に給付をうけていないこと
この条件に当てはまらない場合は、残念ですが専門実践教育訓練給付制度は利用できません。
この条件に当てはまっている場合でも、専門実践教育訓練給付制度を利用する場合には、事前に管轄のハローワークに確認しましょう。
提出書類を用意して申請したら、だめだったというようなことにならないように。
ハローワークの窓口に行っても、電話でも確認できます。
このあと説明する「ステップ④ハローワークに受給資格確認申請をする」は、講座の受講開始日の1か月前が原則です。
また受給資格確認申請前に「訓練前キャリアコンサルティング」を予約して受けなければなりません。
そのためできるだけ早めに行動するようにしましょう。
ステップ②資格や講座を決める
受給資格があることが確認できたら、どこの施設(学校)のどの講座を受けるのかを決めます。
厚生労働省の「教育訓練講座検索システムで」をつかうと便利です。
インターネットで受けたい講座や取りたい資格と、「専門実践教育訓練給付制度」と検索するのも良いでしょう。
受ける講座を決めるときには、講座の内容やシステム(オンラインか通学かなど)、教材や講師、受講生の声などを確認することをおすすめします。
また無料体験や無料説明会などを実施している講座は、積極的に活用しましょう。
せっかく受ける講座なので、あとで後悔しないようにあなたにあった講座を選ぶこと、そのためにも下調べが大切です。
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ステップ③講座の仮申し込み
専門実践教育訓練給付制度を利用して受ける講座が決まったら、次に講座の仮申し込みをします。
ステップ④ハローワークに受給資格確認申請して、受給資格者書を受け取ってはじめて受給が可能になるので、この段階では申し込みをします。
仮申し込みの方法や専門実践教育訓練給付制度の利用方法を、その講座を運営している施設(学校)のホームページなどで確認しましょう。
ステップ④ハローワークに受給資格確認申請のときには、「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」という用紙を書いて提出します。
この用紙には、以下の項目の記入が必要になりますが、この項目は受講する施設(学校)からもらうことになります。
- 指定番号
- 教育訓練施設の名称
- 教育訓練講座名
- 受講開始予定年月日 / 受講修了予定年月日
受ける講座の運営施設で、専門実践教育訓練給付制度の利用方法を確認出来たら、次のステップにすすみます。
ステップ④ハローワークに受給資格確認申請をする
ステップ④は、ハローワークに受給資格確認申請をします。
ハローワークで受給資格確認申請するには、まず事前に管轄のハローワークで、訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受ける必要があります。
そして訓練前キャリアコンサルティングを受けるには、ジョブ・カードという、これまでの仕事や取得した資格、職業訓練といった過去の自分の経験を書いた指定フォーマットの書類を用意します。
ジョブ・カードについて詳しくは、以下の記事を参照してください。
またジョブ・カードはオンラインでつくると便利です。
ジョブ・カードの準備できたら、ジョブ・カード作成支援予約サイトで、「訓練前キャリアコンサルティング」の予約をします。
以下は私の地域のハローワークのキャリアコンサルティングの予約画面ですが、管轄のハローワークを選んでこんな感じで日時の予約をします。
キャリアコンサルティングの予約は混雑している可能性があるので、早めに予約だけとっておきましょう。
予約は以下のサイトからできます。
訓練前キャリアコンサルティングを予約した日時に、ハローワークに行って訓練前キャリアコンサルティングを受けます。
当日は記載したジョブ・カードを訓練対応キャリアコンサルタントに渡して、訓練前キャリアコンサルティングをしてもらいます。
そして訓練前キャリアコンサルティング済んだら、提出したジョブ・カードのキャリアコンサルタント実施者の記入欄に記載をいただきます。
訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードに記載をしてもらったら、そのまま受給資格確認申請をハローワークの窓口で行いましょう。
受給資格確認申請に必要な書類は以下です。
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワークでもらえます)
- ジョブ・カード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの)
- 本人・住居所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類
- 写真2枚(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
本人・住居所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類は、マイナンバーカードで大丈夫です。
マイナンバーカードがあると写真2枚も提出不要になります。
さらに詳しくは、ハローワークのページで確認してください。
ステップ⑤受給資格者証を取得
受給資格確認申請の提出書類に不備がなければ、その場で受給資格者証を受け取ることができます。
これで受給資格を取得することができました。
「受給資格者証」は、「受給資格者証のしおり」とあわせて、大切に保管しておきましょう。
あとは講座をしっかりと受講します。
ステップ⑥ハローワークに支給申請
講座が終了したら、ハローワークに支給申請をします。
専門実践教育訓練の教育訓練給付金の支給申請手続は、管轄するハローワークに必要書類を提出することによって行います。
専門実践教育訓練を受講修了したときは、受講修了日の翌日から起算して1か月以内が支給申請期間になります。
提出書類について詳しくは、講座の運営施設またはハローワークに確認しましょう。
また講座の運営施設から、「専門実践教育訓練修了証明書」や「領収証」などを受け取る必要があります。
ステップ⑦給付金の受取り
申請後5日~10日程度で指定した口座に、教育訓練給付金が振り込まれます。
専門実践教育訓練給付制度を利用して受けた講座の受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講を修了したときに専門実践教育訓練給付金として支給されます。
また資格取得等をし、一定の条件を満たせば受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
まとめ:専門実践教育訓練給付制度
専門実践教育訓練給付制度とは、中長期的なキャリアアップを国がサポートしてくれる制度です。
ミドル・シニアが将来の仕事のために学びたい、資格ととりたいという場合に、受ける教育訓練の受講料の半額を国が支給してくれます。
受給の条件は、
- 会社で3年以上、雇用保険料を支払っていること
- 会社を辞めた場合、離職日から受講開始日までが1年以内であること
- 過去3年以内に給付をうけていないこと
専門実践教育訓練給付制度の手続きの流れは以下です。
- ステップ①受給資格の確認
- ステップ②資格や講座を決める
- ステップ③講座の仮申し込み
- ステップ④ハローワークに受給資格確認申請をする
- ステップ⑤受給資格者証を取得
- ステップ⑥ハローワークに支給申請
- ステップ⑦給付金の受取り
ミドル・シニアが定年後の新しい働き方をするための学びに活用しましょう。
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