人生の棚卸しをしたことがありますか?
人生の棚卸しとは、自分の人生を振り返って見つめ直し、本当の自分を理解する作業です。
自分のことは自分が一番知っていると思うかもしれませんが、ほとんどの人が本当の自分をよく知りません。
まして半世紀を生きてきた50代なら、子供の頃の自分や働き始めたころの自分を忘れかけているかも。
これからの生き方や働き方、進みたい方向を決めるためには、人生の棚卸しをするのがおすすめです。
- 人生の棚卸しとは
- 人生の棚卸しのやり方は
- 人生の棚卸しで見つけたいこと
この記事では、人生の棚卸しについて解説します。
人生の棚卸しとは
人生の棚卸しとは、自分の人生を振り返って見つめ直し、本当の自分を理解する作業です。
自分の今までの人生を振り返り、自分の理解を深めることで、あなたの自己概念を見つけることができます。
自己概念とは、簡単にいうと「あなたらしさ」です。
「自己概念」とは、あなた自身が、あなたとあなたを含む周りの世界をどう見ているか?ということ。
自己概念を理解することで、あなたの「ありたい自分」が見えてきます。
「ありたい自分」を実現することが、あなたらしい人生を生きることになるのです。
人生の棚卸しすることで、あなたの「自己概念」と「ありたい自分」を見つけましょう。
人生の棚卸しのやり方
では人生の棚卸しをしていきましょう。
ここではライフマップを使って人生の棚卸しをしてみます。
ライフマップを使った人生の棚卸しのやり方は、3ステップです。
- 人生の棚卸しステップ①人生を書き出す
- 人生の棚卸しステップ②人生を振り返る
- 人生の棚卸しステップ③自分を理解する
人生の棚卸しステップ①人生を書き出す
人生の棚卸しのステップ①では、あなたの今までの人生をライフマップに書き出すことです。
ライフマップとは、生まれてから今までの人生の浮き沈みをかいた図で、ライフラインチャートとか、ライフシフトサイクルとかと呼ぶこともあります。
横軸は年齢で、縦軸はあなたの感情。
満足感などのプラスの感情が強ければ強いほど上にいき、不満などのマイナスの感情が強ければ強いほど下にいきます。
ライフマップを書く時の決まりごとはこれだけです。
小さいころから今まであった出来事などを思い出しながら、左から右に向かって書いていきましょう。
以下は、私が書いたライフマップの例です。
ライフマップについて詳しくは、以下の記事を参照してください。
人生の棚卸しステップ②人生を振り返る
ライフマップを書いたら、人生を振り返ります。
ライフマップで人生を振り返るときには、以下のようなポイントに視点をむけてじっくり振り返ります。
- 出来事や転機
- 影響を受けた人や本
- 成功体験
- 失敗体験
- ライフライン(感情の浮き沈み)
幼少から今までの出来事や転機を振り返りましょう。
じっくりと人生を振り返ると、いろいろなことがあったなと、その時のことを思い出してくるはずです。
私も今までの人生で、たくさんの出来事や転機がありましたが、ある出来事を例にとって振り返る視点を意識して、経験を振り返ってみます。
私は、32歳の時にモヤモヤしたものを感じて、新卒で入った広告制作会社をやめて1年間アメリカに自費留学しました。
そのころはまだ転職も今のように当たり前ではなかったので、次の会社が決まってないのに会社を辞めることを周りの人たちにも心配されました。
でも、思い切って会社を辞めて、その時もっていたお金をもって単身アメリカに行くことにしたのです。
アメリカでは最初は英語が全くわからず苦労しましたが、新しい経験をたくさんしました。
そしてお金を使い果たして1年後に帰国。
そこから就職活動をはじめます。
この時に、たまたまある外資企業のスタートアップで人を募集している広告をみました。
さっそく応募をすると、前職でマーケティングをやってきたこと、アメリカで英語を学んできたこともあって、入社することが出来たのです。
入社してからはマーケティングマネージャーとして新規顧客獲得の仕事をして、スタートアップに貢献することができました。
私のこの時の経験を棚卸して振り返ると、こんなことが見えてきます。
- 出来事や転機→会社をやめて渡米、1年後に帰国し新しい会社に入る
- 影響を受けた人→Iさん、Gさん、Jさん、Hさん、Yさん
- 成功体験→外資企業の日本スタートアップに貢献できた
- 失敗体験→渡米してはじめは英語が全く話せず苦しんだ
- ライフライン→入社後は急上昇、50歳に近づくと急降下
新しい仲間との出会いや、会社の成長を感じることができたこの時代は、私の人生にとってとても大きな転機であり、自己概念に影響を与えています。
こんな風に、人生の棚卸しで振り返る視点に注意して、あなたも人生を振り返ってみてください。
その時々の出来事で、人に出会い、喜んだり悲しんだり、いろんなことを感じてきたはずです。
そういった今までのあなたの様々な経験があなたの「自己概念」をつくっています。
人生の棚卸しステップ③自分を理解する
出来事や転機を振り返りったら、自分をさらに理解します。
ライフマップで今までの経験を振り返り、その経験があなたにとってどういう意味をもっているのかを内省してみましょう。
見るポイントは、ライフラインの線が上がっているところと、下がっているところです。
山や谷になっているところですね。
線が上がってきた時には、満足感が高い時です。
山の部分は満足感最高潮!
その時あなたは、どんなところに満足を感じたでしょうか。
線が下がってきた時には、満足感が低い時です。
その時あなたは、どんなところに不満を感じたでしょうか。
何にざわつき、どんな違和感を覚えたでしょうか。
人生の棚卸から自己概念をみつける
人生の棚卸しで、自分の経験をとおして感じたことには、あなたの自己概念が現れています。
自己概念をみつけるために、次のようなポイントをはっきりさせていきます。
- 興味
- 能力
- 価値軸
- リソース
- 環境
興味
あなたが何に興味を持っているかということは、あなたらしさに影響します。
今までの人生の経験をとおして、興味を持つようになったこと。
本当に興味のあることは、こんな記憶の中にあるかもしれません。
- あなたが好きだった人・憧れていた人
- あなたが定期的にみる雑誌やテレビ番組
- お気に入りの格言・座右の銘やモットー
- 幼少期の想いで
何をしていると楽しいですか、何を考えるとワクワクしますか。
ワクワクの質問に答えることで、あなたが好きなことワクワクすることが浮かんでくるかもしれません。
- ワクワクすることはなんですか?
- 好きな趣味はなんですか?
- 好きなスポーツは何ですか?
- 何をしているのが好きですか?
- 誰といるのが楽しいですか?
- 何を見るのが好きですか?
- 何を聞くのが好きですか?
- 何に触るのが好きですか?
- どんなにおいが好きですか?
- どんな味が好きですか?
- 何に興味がありますか?
- 何をしている時が幸せですか?
- 誰といると幸せですか?誰といるのが好きですか?
- 時間を忘れてしまうほど夢中になれることは、何ですか?
- 好きな場所はどこですか?どんな場所にいるとワクワクしますか?
- 好きな映画は何ですか?
- 好きな音楽は何ですか?
- 好きな本や漫画は何ですか?
- どんな動物が好きですか?どんな生き物を飼っていますか?飼いたいですか?
- どんな遊びが好きですか?室内の遊びや屋外の遊びが好きですか?
- 今までの人生で一番うれしかったことは何ですか?あなたは何をしていましたか?
- 今までの人生で一番楽しかったことは何ですか?あなたは何をしていましたか?
- どんな時に、人生に満足しますか?
- 話し出すと止まらなくなることは何ですか?
- 人に良く聞かれることは何ですか?
- 何かを変えることができるとしたら、何を変えたいですか?
- なんでも自由にできるとしたら、何をしたいですか?
- なんでも買えるとしたら、何を買いたいですか?
- 小さいころ好きだったことは何ですか?
- 得意なことは何ですか?
- 良く知っていることは何ですか?
- 人生でやっておきたいことは何ですか?
能力
あなたが持っている能力にも注目しましょう。
仕事や趣味としてはじめて出来るようになったこと、得意なことなど。
「好きこそ物の上手なれ」という言葉もあります。
あなたが興味を持っていて好きなことは、同時に得意なことであることも多いです。
職業上の興味と能力から人の基本的な性格をみつける方法のひとつに、ホランドタイプというアセスメントもあります。
このアセスメントでは、職業的パーソナリティともいう、職業上の興味からの性格を6つのタイプとして理解することができます。
詳しくは以下の記事を参照してください。
価値軸
あなたが大切にしてきた価値軸があるはずです。
そして価値軸は人生でさまざまな経験をする中でつくられ変化してきたかもしれません。
たとえばこんな価値観です。
- 自分らしく
- 責任を果たす
- 人の役に立つ
- 社会や地域に貢献する
- 何かを創りだす
- 家族といっしょに
- 安心・安全
人はそれぞれ異なる価値観をもっています。
ここでもひとつのキャリア理論を紹介します。
自分らしいキャリア・働き方の価値観をあらわしたキャリア・アンカーというものがあります。
これは、組織心理学者として有名なエドガー・シャインが提唱したキャリア理論で、個人が自らのキャリアを形成する際に最も大切で、他に譲ることのできない価値観のこと。
周囲が変化しても、自己の内面で不動なもののことをいいます。
アンカーとは船の錨であり、あなたのもっている働くうえで大切な船の錨のようなものです。
シャインは8つのキャリア・アンカーを見出しました。
それぞれのキャリア・アンカーを簡単に説明します。
- 専門・職能別コアコンピタンス ― 専門性を高めていくことに満足感を覚える
- 経営管理コアコンピタンス ― 責任ある地位にたち、高い収入を得ることに喜びを得る
- 自立・独立 ― 組織に束縛されず、自分のペースや自分が納得する仕事の標準を優先する
- 保障・安定 ― 安定した仕事や報酬、将来を予測できる仕事をしたいという欲求を優先する
- 起業家的創造性 ― 自分で新しい組織やサービスを生み出すことに楽しみや充実感を覚える
- 奉仕・社会貢献 ― 自分の仕事をとおして「何らかの形で世の中を良くしたい」欲求が強い
- 純粋な挑戦 ― 無理と思う課題や手ごわい相手に打ち勝つことに満足感を覚える
- 生活様式 ― 個人だけでなく、家族や会社のニーズとの調和を大切にして統合したい
働くうえでは、こういった価値軸も、自己概念の一部になっています。
リソース
リソースとは資産のこと、資産とはある程度の期間にわたって人生に恵みをあたえてくれるものです。
あなたが今持っているリソースも、これから獲得したいリソースも自己概念に影響します。
資産には形を持つ有形資産と、形のない無形資産がありますが、人生の棚遅しででは無形資産に注目しましょう。
そして資産には形を持つ有形資産と、形のない無形資産があります。
- 有形資産―家などの不動産、車や貴金属、有価証券や、現金といった形のあるもの
- 無形資産―スキルやノウハウ、人材やネットワーク、情報やデータ、ブランドや特許などの形のないもの
無形資産のなかでも、人生100年時代には、「生産性資産」、「活力資産」、「変身資産」の3つの無形資産が重要になってくるといいます。
人生100年時代に必要な1 つめの無形資産は「生産性資産」です。
これは簡単にいうと稼ぐ力。
人が仕事で価値を提供することで収入を増やすのに役立つ知識やスキルといった資産です。
最近は、人生の中で学び直しをするという人も多くなってきました。
何を学びたいのかも、あなたが持っているあなたらしさの一部です。
人生100年時代に必要な2つ目の無形資産は「活力資産」です。
「活力資産」とは、心身の健康や幸福を得るための資産。
あなたは、どんな人間関係や人脈を大切にしていますか?
家族や友人といった人たちはもちろん重要ですが、会社で働いている場合は、会社での人間関係も大きな影響をあたえるかもしれません。
職場と家庭のバランスなども重要です。
人生100年時代に必要な3つ目の無形資産は「変身資産」です。
変わりたいか、変わりたくないか、変わる力はどれだけもっているか。
「変身資産」とは、変身に対応する力でだけでなく、自分なら変身できると認識する力や、自分から変化を切り開いていこうとする自発的な力が含まれます。
無形資産について詳しくは、以下の記事を参照してください。
環境
最後は、あなたをとりまく環境です。
少子高齢化やグローバル化、リモートワークの普及など働き方にも大きな変化が起きています。
早期退職や役職定年やリストラなどの出来事もおきるかもしれません。
予測できる出来事も予測できない出来事もあるでしょう。
そして環境は仕事面だけではありません。
家族や健康、親の介護といった個人的な環境も変化をしていきます。
子供であったり、親であったり、職業人であったり、市民であったり、人生の中では、年齢や場面の中でさまざまな役割が変化します。
あなたは今までの人生の経験をとおして、環境をどのように見てきたでしょうか。
そして環境の変化に対応し、これからどのような役割を担いながら生きていきたいでしょうか。
人生の棚卸しからセカンドキャリアを見つける
人生の棚卸しをすることで、あなたの自己概念とありたい自分が見えてきます。
見つけた自己概念を基本として、ありたい自分に向かっていきましょう。
働き方は、これからの人生のカギをとなります。 なぜなら働き方は、生きていくうえで大切な5つをバランスよく支えるカギになるからです。
働き方は、単にお金を稼ぐための方法ではなくて、生きていくうえで大切な5つをバランスよく支えるカギになります。
- 生き方
- 働き方
- お金
- 人間関係
- 健康
あなたにとって最適な働き方をしましょう。
セカンドキャリアの取り方で、これからの人生が大きく変わってきます。
今の会社に残って働く、再雇用制度を利用する。
新しい会社に転職する、あるいは独立して自分で仕事をする。
セカンドキャリアの選択肢もいくつかあります。
大切なのは自分の人生を自分で決めること、そして自己概念にしたがって自分らしく生きることです。
まとめ|人生の棚卸し
変化の多い今の時代、参考にするロールモデルはありません。
自分の人生は自分で切り拓きましょう。
そのために大切なのは自分を理解すること。
人生の棚卸しをしましょう。
人生の棚卸しとは、自分の人生を振り返って見つめ直し、本当の自分を理解する作業です。
自分の今までの人生を振り返り、自分の理解を深めることで、あなたの自己概念を見つけることができます。
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